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執筆者の写真Kensuke Suga

アワイチ

更新日:8月1日

 アワイチとは淡路島一周のこと。約150kmの道程を周ります。自転車でアワイチしている人がたくさんいます。潮風を浴びながら、海空山、畑に田んぼ、おいしい楽しいお店もたくさん、淡路島が誇る最高のアクティビティの一つです。

 今回は私が敢行したアワイチについてまとめようと思います。自動車でもバイクでもなく、自転車でもなく、2本の脚でアタックしました。淡路島で醸造所を開くにあたり、いつか人々のアワイチを応援し讃えるようなビールを作ろうと決めていました。


 2024年5月21日18時に醸造所での仕事を終え、淡路島の南西の阿万でスタートしました。(青ポチが醸造所)




2Lの水が入ったハイドレーションパック(チューブがショルダーストラップまで伸びており咥えて吸えば水が飲める!)と食料、ヘッドライトをザックに詰め込み走りだしました。

 まずは阿万から福良まで。福良の自宅までは時々プロギングしていた道。自宅がアワイチコース上というのも魅力的。夕日が綺麗で風も心地よくぐんぐん行ってしまいそうですが、まだ145㎞あるので飛ばし過ぎないように。

 淡路島南インターを越えるころにはすっかり日が暮れて、ヘッドライトを点けて、傾斜のある道は積極的に歩きます。夕飯のおにぎりを食べつくしながら歩きます。阿那賀を越えて丸山海水浴場に差し掛かるところでまさかの工事のため年末まで阿那賀~津井間が通行止め。警備の方に迂回路を教えていただくも遠回りで峠を越えなければならない…「歩きだときついねー」と同情されるもやるしかない。真っ暗でさみしい峠を最後の食料であるパンをかじりながら歩きます。



 途中ホタルがたくさんいて「遠回りもいいもんだ」と呟きながら峠道を上り下り。今思うとかなり強がっていました。。慶野松原までいけばコンビニがあるのでそこで手に入る食料と水とコーヒーを楽しみに歩く。コンビニに到着したのは夜の11時。まだ出発して5時間、距離にして30キロほど。仕事終わりとはいえ疲れたなんて言っていられない。涼しい夜のうちに距離を進めなければ。

 コンビニではパンとおにぎりとコーヒーとを必ず買うように、水が減っていれば水も買うようにする。パンを食べながらコーヒーを片手に歩く時間が至福のとき。暑くてもコーヒーはホット。普段はブラックを飲むのですが、カロリー不足が怖いので砂糖をたくさん入れて、あえて混ぜなません。パンを食べながらブラックな部分を飲んで、パンがなくなるころに甘くなってくる。コーヒーを飲み干すとゴミをザックに入れてまた少し走ります。楽しいコンビニを目指してまた頑張れます。お腹がすいたらおにぎりをほおばる。動けなくなったときはストレッチをして容赦なく座り込む。こんな調子で通行止めで折れかけた心も調子を取り戻してくる。夜のウォーキング(とランニング)は頭がすっきりして色々な考えがはかどる。

 明け方にはミエレのあたりまでこれた。70キロ弱ぐらいだろうか。ペースが遅いのと、眠い。足も痛い。とはいえ寂しい夜は終わった。人間は昼行性だ。こっから元気が出てくるはずだ。朝早くから漁船がたくさん走っているし、大阪に向かうさんふらわぁも見えた。こっから今日が始まるのだ。こっからが本番だ。

相変わらずコンビニを楽しみに、ストレッチを繰り返しながら岩屋を越えて東浦を越えて、ドラッグストアがオープンする時間になっていたので痛み止めを購入して飲んで歩き続けた。時々走った。



 大浜海岸を越えたあたりで最後のコンビニ。夕方3時半ぐらいで残り40キロぐらいであろうか。ここからはもう大好きなコンビニがない。足も限界を超えている。らんらんバス(淡路島のローカルバス)の終バスが来るまで歩いて終わろうかと思いながら由良を越えて立川水仙郷へ。17時過ぎ、ちょうどバス停に終バスが来た。



よし、もう疲労困憊。そもそも24時間で終わりにしようと思っていた。明日も仕事、あまり疲労を残すわけにもいかない。仕事明けにしてはよく頑張った。

と、火事場のパフォーマンスか怒涛の言い訳が思い浮かぶ。そもそもアワイチ挑戦も仕事や練習不足を言い訳にずっと先延ばしにしてきた。このままではいけないと気合を入れて始めたのだ。運転手さんも少し待ってくれたがこちらが乗らないと分かっていってしまった。

もうちょっとだけいってみよう。最悪妻に迎えに来てもらおう。

水仙郷を下ってここから地獄の水仙ライン。また日が暮れて二度目の夜。ヘッドライトを点けてテトラポッドに弾ける波の音を聞き続けながら歩く。車の通りもほとんどない。食料と水も尽きてしまった。やはりバスに乗っておくべきだったか

 夜の8時ごろ向こうから一台の車が来て停まる。妻だった。食料と水分の差し入れを持ってきてくれた!助かった!もう少し頑張れそうだ。妻を見送ってまた歩き出す。

 左側は海、右側は山。鹿の子育ての時期でヘッドライトを山に向けると至る所で目が反射して光っている。突っ込んできませんように。南あわじの鹿は人や車がきてもあまり逃げないし場合によっては向かってくるのでとても危険なのです。

 トラウマだらけのアワイチの中で痛み、眠気、空腹、脱水以外で一番きつかったのが鹿がらみでした。海側のテトラポッドの上にも反射する目がありピョンピョン跳ねていたのですが、フッと消えました。波に飲まれてテトラポッドの隙間に消えたのでしょう。道にいる鹿はたくさん見てきましたが、テトラポッドまでいく鹿は初めてみました。小鹿はまだその危険性を知らなかったのだろうか…

 逸れましたが(道だけに)そこからも容赦なく休みながら歩を進め、やっとこさ灘から阿万に抜ける峠に辿り着きました。が、このアップダウンがもうきつ過ぎて...スマホの充電も切れてしまっていて時間もわからないし助けも呼べない。もう歩けないのでガードレールにしがみつきながら、ガードレールがないところは分速1mくらいで足を交互に引き摺って進みました。時々在る街灯を見上げると向かいから車のヘッドライトが見えて、なんと妻が車で迎えにきてくれました。嬉しくて泣きました。街灯がある度に何度も迎えにきてくれました。全部幻でした。

 超長距離レースで幻覚を見るランナーの話は聞きますが、初めて体験しました。徹夜して動き続けたわけなので、そういう状態になっていたのでしょうか。一度目で「あ、これが幻覚か」と分かるのですが、何度も同じ幻覚を見てしまいました。まだまだ鍛錬が必要だ。

 そんなこんなで阿万に帰ってきて、本物の妻が迎えに来てくれました。工事での迂回もあってかれこれ160キロ近くになっていたのでしょうか。時間を見ると3時半。33時間半もかかってしまった。ちょっと寝てから仕事をしようにも全身痛すぎてもう大変でした。最近は忙しさにかまけてランニングも怠っていたからか。次はもう少しスピーディに回りたい。


 ここからは僭越ながら今後アワイチランに挑戦する人へのアドバイスです。

・朝にスタートしましょう。

・おそらく洲本スタートにして明るいうちに水仙ラインを終えるのがよいでしょう。明るい時間だと海も空も綺麗で沼島という島がよく見えます。モンキーセンターでご飯も食べられる。

・大浜を越えてからはコンビニがないのでそこのコンビニ(セブンとファミマ)で食料は多めに調達しましょう。

・由良の公衆トイレ過ぎるとしばらくトイレがないので済ませておきましょう。

・花トイレという公衆トイレがちょこっちょこあります(ありがたや!)が時期的なものなのか、夜はカメムシが壁や天井にびっしりで私は用を足せませんでした。ご注意を。

・育波橋のローソンの後もコンビニないので調達とトイレは済ませておきましょう。

・水仙ラインは自販機はちょこちょこあるので小銭も持っておくとよいです。

・2024年中は阿那賀~津井は通行止めなので注意!


私の振り返りだと辛いことばかり書かれていますが、景色もきれいで本当に素敵なアクティビティです。

アワイチをしてアワイチ後に飲みたいビールを作ろうを思ったのですが、水が一番美味しいですね。

そんな島内限定販売ビール「AWAICHI」、ご興味あれば淡路島内の道の駅などでご購入ください!



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