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執筆者の写真Kensuke Suga

阿ヮ万

更新日:13 時間前

「阿ヮ万」

AWAICHIの缶の累計出荷数量が一万本に達しました!皆様ご愛顧いただきましてありがとうございます。一万本を記念してアワ”イチ”ならぬアワ”マン”を仕込みました。2025年1月発売の今作は正式には阿ヮ万 vol.1です。



◆阿万(あま)への想い

 弊社があるのは南あわじ市阿万吹上町の田尻という集落です。阿万地区の中で福良湾の入口に近く、湾に入り込んでくる風が大見山という山に吹き上げてきます。福良湾沿いにあり大見山の麓に位置する弊社にとってこの風が天敵であり、停電を引き起こす大きな原因の一つです。特に冬は冷たい風が吹き荒れて建物の中にいても底冷えするしずっと風の音に悩まされます。海も荒れて白波が立っていて、醸造所から望む山々の木々は枯れ、どんよりした空にいつもより早く暗くなる環境でこの季節はいつにもまして世界の終末感が漂っています。



 また阿万界隈はアワイチ(淡路島一周)における屈指の難コースがいくつもあります。公式ルートの阿万から福良に向かう上り坂(「岩屋から75㎞」の看板のところ)もハードですし、阿万に入る際の世界一コーラに到達する登板もきついです(あの坂の上で飲むものは何でも世界一!うちのビールもやりたいけれどサイクリストには提供できないか…)、また公式ルートではないですが、阿万のより外側を回る大見山登板コース(プラザ淡路島~若人の広場)はさらにきつい。

 とまあ醸造所とアワイチがらみでいうととてもハードな環境な阿万ですが、だからこそ阿万の皆様には助けられてここまでやってこれました。場所を貸してくれたのもそうですし、畑をやらせてもらったり、麦芽カスを肥料にしてくれたり牛の餌にしてくれたり魚の餌にしてくれたりと。

 お恥ずかしい話、お得意先様との打ち合わせや取材などで弊社のストーリーやら作り手の想いやらを問われて答えに窮し「特にないです...ただ美味しいものを作って人々の活力なれば...」としか言えてないのです(就活でも自己PRを求められて「特にないです。」と答えて苦言を呈されたことを思い出して辛くなります。)が、そんなもん全てのメーカーが思っていることですからね。とある番組で経営者は「三流は商品を売る。一流はストーリーと売る」みたいなことを仰っていてまさにその通りだと思います。弊社は企業としてまだまだ三流。お客様や近隣の人々の支えでやっと財産になるストーリーがポツポツと生まれた気がします。いつかそれを語れるぐらいのストーリーテリングの力をつけてまた改めて一つ一つを振り返ってまとめられたらいいなと思います。そんな風に阿万への想いを込めて名称をアワマンではなく阿ヮ万としました。

◆スタイル

 アワイチは度数3.8%Session Hazy IPAですが、阿ヮ万vol.1はHazy Session IPAにしました。流行りの濁りスタイルです。弊社ではHazyは作らないのですが、濁らせた、というか曇らせたのにはこれまた場所が関係しております。大見山を登ってそこから福良湾沿いの田尻という集落に下らないと辿り着かないのですが、時々福良湾に雲海が広がっています。麦汁も少し赤みがかかっているのですが、これも醸造所から見える美しい夕焼け空っぽくしたかったのです。そんな雲海と夕日をイメージしたのですが、まあ伝わりませんね。2万本行った際のvol.2ではより赤みがかったHazyなRed IPAにしようと思います。

 今回阿ヮ万を仕込んだタンクはメーカーの手違いにより断熱材が入っていないタイプで、夏場は問題ないのですが、冬の阿万吹上では思った以上に気温が下がり、発酵中の温度も下がり過ぎてしまいました。タンクの横でストーブを焚いて火事も怖いので卵を守る親鳥のようにタンクを温め続けていました。そんな意味でも思い入れの強いビールですね。このタンクは冬場が低温発酵熟成のラガー系専用とし、次の阿ヮ万を仕込む際(おそらく冬場)は断熱材の入ったタンクでもっと上手に発酵させます。

◆ホップ

 ここも少しひねりました。というか遊びました!使用したホップは2種類のみ!まずは阿万なのでアマリロ!華やかな柑橘系の香りが広がるアメリカンホップです。

そしてもう一種はチヌーク!これまた柑橘感が強いのですが、少しスパイシーさと松っぽさを感じさせるアメリカンホップです。なぜチヌークか、鋭い方はお気づきかもしれませんが…阿万はチヌが釣れるからです。醸造所のすぐ隣の海釣公園でも釣れます。

しかしチヌークとこの土地の関係はそれだけではないのです。チヌークとはもとの意味はロッキー山脈から吹き降ろす暖かい風のこと。ロッキー颪ですね。ここ阿万吹上は福良湾から大見山に吹き上げてくるので方向としては逆ですが…阿万チヌークと私は勝手に思っています。そしてチヌークにはキングサーモンという意味もあります。阿万~福良は品種はサクラマスですがサーモン養殖も盛んです。3年サクラマスサーモンが苦手な方でも美味しく食べられます。実にチヌーク、いやユニークな町ですね。

◆これからのアワイチ

 阿ヮ万vol.1を仕込んだことにより、アワイチの製法の方にもインスピレーションを受けてちょっぴり変えてみました。レシピは一緒ですが、ホップ感が強く感じられると思います。製法を変えたバッチは2月ごろから順次出荷していく予定です。暖かくなったらぜひアワイチも味わいにきてください。

 シンカシテーク!

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