トウモロコーシ
- Kensuke Suga
- 9月29日
- 読了時間: 4分
◆TOMO CERVEZA
久しぶりに新作ビールを作りました。とうもろこしを使ったメキシカンラガー、その名も「TOMO CERVEZA(トモセルベッサ)」です。メキシコの言葉(スペイン語)でツカレナオースの意味です。先日の三宮生田神社でのイベント「弥栄」で初お披露目した際にお客様にTOMOはとうもろこしから来ているのですかと言われて「なるほど!」と思いましたがそんなおしゃれなネーミングは意識していませんでした。
◆メキシカンラガー
メキシカンラガーは醸造所を立ち上げたときから挑戦したいと思っていたビールでした。メキシカンラガーはここ最近アメリカでポピュラーにスタイルのビールです。はっきりとした定義が確立しているわけではないですが、とうもろこしを使ったスッキリ系のビールです。メキシコのイメージか、ライムや塩を使っているものも多いです。コロナビールやテキーラが塩やライムを合わせるところからのイメージでしょうか。
ちょこちょこ輸入ビールを扱っているお店でメキシカンラガーがあると買っていたのですが、その中でもBale BreakerさんのLa Mas Buena Mexican Lager(和訳:最高のメキシカンラガー)というのが飲みやすくて好みだったのでリピート買いしていました。こちらがとうもろこしと麦芽とホップのみだったので弊社もそちらの方向で作ることにしました。このストレートな感じもうちらしい。

◆清水農園
メキシカンラガーを作りたいと思っていたのはもう一つ理由があります。妻の姉が嫁いだ先が富良野の農家さんで清水農園といいます。富良野の広大な農場で小麦、アスパラガス、かぼちゃ、とうもろこし等様々な作物を育んでいます。これまで小麦や、市場に出ない規格外品のかぼちゃを仕入れさせてもらってビールを作っていましたが、どうようにとうもろこしも活用したいと思っていました。ただ、ラガー系のビールは完成まで2か月ほどかかる(エールの2倍!)ので中々仕込もうにも生産計画の調整が難しかったのです。

◆仕込むという強い意志
ただ今年は定番品ばかり仕込んでいて(定番が売れるのはもちろん有難いことですが!)新作を作れていなかったので何が何でもやってやろうという気になっていました。お盆の真っただ中でしたが、この日に仕込むと決めて、その日の午前中に届くように収穫してもらって手配いただきました。収穫したてはそのまま生で食べても美味しい最高級のイエローコーン。時間が経てば経つほど糖度が落ちて味が悪くなっていくので届いたらすぐに仕込もうと思っていました。しかし、仕込み当日、昼になっても届かない。運送会社に確認すると「天候の関係で島の営業所まで到着が遅れており、夕方になると思う」とのこと。こればっかりは仕方ない。仕込の日をずらすか…とでも言うと思ったかとうもろこしよ!寝かせないぞい!徹夜で仕込んでやるわい!
というわけで夕方からとうもろこしの実を捥いで、計画していた温度で茹でました。この温度帯でとうもろこしの甘みを引き出したり、青臭さを出したりと色々とできるようです。奥深い。次仕込むときはちょっと温度帯を変えてみようかなとワクワクします。麦芽とお湯で麦汁を作り出すマッシュという工程もこの温度帯で味わいが変わります。とうもろこし×麦芽、無限の可能性があります。そしてとうもろこしのひげ茶に着想を得て、ホップを入れるタイミングでとうもろこしの髭も使いました。これがホップとは違った苦みを引き出しているのかなと思います。
とまあそんなテンションで翌朝5時には仕込を終えて、その日も予定していた作業をこなしました。お盆の繁忙期ですからね!来年は絶対にとうもろこし遅延してほしくない!
そう、来年も、再来年も年に一度だけ秋季限定ビールとして作ります。なぜなら美味しくできたから!そしてまだとうもろこしの可能性を感じているから!あと、デザイナーにお願いした缶のラベルも気に入っています。とうもろこしでメキシカンな感じをお願いしたらとうもろこしと覆面レスラーをたくさん盛り込んでくれました。

今回はなんだか苦労話みたいになってすみません。弊社もモットー「疲れたら飲んで休もう無理しない」に反しているではないかと思われる方もいるかもしれません。しかし日々洗浄、充填、配達、事務作業と追われている私にとって、月に数回の仕込みは休息みたいなものです。睡眠です。あまり深く考えずにグビグビと飲んじゃってください。味の濃いもの、脂っこいもの、それと秋ですから、サンマとかきのことかに合わせて水のようにいっちゃいましょう。最高のメキシカンラガーとまでは言いませんが、最高の夜を更にちょっとだけ最高にできたらいいな。
トウモロコーシ!




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