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イヌガコワーイ

  • 執筆者の写真: Kensuke Suga
    Kensuke Suga
  • 7月9日
  • 読了時間: 7分

◆犬とワターシ 

 前回ブログで少し触れましたが、私は犬が怖いのです。中型以上の子が特に。小学生の頃は実家で犬も飼っていましたし、今も実家には犬がいます。哺乳類全般兄弟だとも思ってます。なんなら犬は大好きですし、犬か猫かでいえば断然犬派です。(にゃあちゃんは犬とか猫とかの次元を超えた存在なのでここでは議論の対象外です。)ただ体が恐怖ですくんでしまうことがあるのです。

ジッカノイーヌ
ジッカノイーヌ

 南あわじでも犬を飼っている人が多くて、散歩しているわんちゃんがいるとついつい見入ってしまいます。そしてよく吠えられたり、飛びつかれそうになることもあります。「いつもは吠えたりしないんですけど」と焦られる飼い主さんも多いのですが、こちらがわんちゃんにトラウマを抱えていることをわんちゃんが見抜いているのだと思います。わんちゃんに敵意を向けられたときには呼吸が少し苦しくなったり動悸がすることもあります。

 この症状は過去に2度ほど犬で死ぬ思いをしたことに起因します。子どものころに友達の家の番犬に吠えられたり追いかけられたりして大泣きするみたいなことは誰しもあるかと思うのですが、それはそれで怖いし私も今でも犬たちの名前まで覚えていますが、その比ではないくらいのトラウマがあります。

 

◆ウガンダ編

 大学5年目の1月末ごろ、私はウガンダのカンパラにおりました。当時船でロシアのウラジオストクに渡り、ロシアを横断してエストニアに入り、そこからヒッチハイクでスペインの南端アルヘシラスから船で地中海を渡ってモロッコに入り、サハラ砂漠を渡ってマリから飛行機でカンパラに来ました。当初はシベリア鉄道に乗るのが目的でしたが、できるだけお金をかけずに行けるとこまで行ってみるかの精神で旅をしていました。その途中でカンパラが一つの目的地となり、なんとか辿り着いたのです。

 なぜカンパラを目指そうと思ったかというと、当時の就職活動で内定先だった会社の現地法人の社長に会いたかったからでした。TV番組で知ってとても強く関心を持ちました。カンパラでは郊外の安宿を取り、そこを拠点に社長との面談に赴いたり、社長のご厚意でスタッフさんの営業周り(主に病院)に同行させてもらったりとしていました。民宿みたいのを想像されるかもしれませんが、外にある水瓶からバケツに水を汲んでそれで体を洗うような宿でした。海外は結構そんな宿ありますよね。というか日本を発って4か月、髪も伸びて全体的にボロボロの私にこんなに良くしてくれるなんて、なんて懐の深い!今でも感謝でいっぱいです。

 そんな中で社長からお声がけをいただき、国際協力機関と共同でやっている事業で製品をパイロットとして提供している大きな国立病院(ムラゴ病院という病院)へ経過観察に同行させていただけることになりました(懐の深さがおかしい)。その日はひげを剃って持っている着替えでできるだけきれいなものを着て、朝からワクワクとドキドキで胸をいっぱいにして意気揚々と宿を出ました。舗装されていない土の道を街に向かって歩いていました。いきなり右足首にずしんと衝撃と痛みが走りました。でかい野犬がしっかりとかぶりついているではいるではありませんか。叫んだり取り乱したりすることはなかったんですがどうすればいいんだろうと思っていると、道行く人が追い払ってくれました。他の通行人も憐れむような悲しそうな顔で「Oh…」「Sorry」とか同情してくれます。野犬が狂暴化するのは夜だし(その決めつけもよくないですね)、嚙まれているを見て周りの人も驚いていました。ズボンに穴が開いて血が流れています。とりあえず社長に電話で事情は話して、「今から病院行くわけですし、そこでなんとかしてもらえますよね」と聞くとこの国で公立の病院で治療を受けたら命がいくつあっても足りないとのことで私立のクリニックを紹介してもらってそこに向かいました。当然のことですが、残念ながらムラゴ病院への経過観察には行けず。小さいながらもとてもきれいなクリニックで傷を治療してもらって、狂犬病のワクチンを打ってもらいます。狂犬病のワクチンは日本でしっかり3回打ってから旅立っていますが、追加で打てば発症する可能性を抑えて生存確率が上がります。なけなしのお金がワクチン代に消えました。

 落ち込んでいてもしょうがないので治療の後でムラゴ病院にも行きました。当然経過観察等々は終わっているのですが、内定先の製品と、映画ラストキングオブスコットランドのロケ地でもあるので見ておこうと思った次第です。予定通りに来て、ちゃんと案内を受けながら回りたかった笑

数か月に及ぶ旅でしたがここで終わりにして飛行機を取って中国によって日本へ帰りました。知り合いに肝炎の検査もしておけと言われて帰国後各種肝炎の検査もしましたがどれも大丈夫でした。

 狂犬病は噛まれた箇所が脳に近ければ近いほど早く発症しリスクも高い(発症したら確実に亡くなります)のですが、足首でよかったです。十数年経っていますが今でも発症していません。牙が刺さった傷はまだうっすら残っています。

 これ以降後ろから散歩している犬などが近づいてきたりすると冷や汗が出て心臓がバクバクしてしまいます。日本の犬は狂犬病がないとは分かっているのですが。その後過呼吸になるぐらいのピンチが訪れます。

◆ミャンマー編

 数年が経って企業戦士ガンバルとして主戦場の東南アジアでばりばり働いて(飲んで)いました。特定の国にいるわけではなく、出張ベースで担当する国を回っていました。その中でも頻度と期間が一番か二番目に高かったのがミャンマー、中でもその経済都市であるヤンゴンです。当時は民主化が進み、凄い勢いで発展を感じさせる状況で行くたびにワクワクしておりました。人もいいしご飯も美味しいし移動もGrabという配車アプリで安く簡単に安全に移動ができて過ごしやすい国でした。と同時に私にとってはとても深刻な街に野犬が多すぎる問題がありました。道端や商店の前はもちろん、総合病院の待合室とかにも寝転がっているもんだから私としては気が気ではないです。

 しかし何回も何十回も行っているうちに慣れてきます。昼間は暑さもあってかぐったりしていて襲い掛かってくることもないので。ときどき毒餌を撒いて大量に殺処分しているなんて話も聞いて同情もしていました。

 そんなある日、ヤンゴンに駐在している同期と飲んで気持ちよくなり、まだ時間もそこまで深くないこともあり宿まで歩いて帰ることにしました。メインの通りを外れ、ショートカットで住宅街をスマホのライトで照らしながら抜けようとすると一匹の野犬がいました。一瞬で酔いが醒めます。昼間は無気力な犬も夜は活力に溢れ攻撃的です。狂犬病の特徴です。すぐにこちらに駆け寄ってきて数メートルの距離で立ち止まり狂ったように吠えてきます。その鳴き声に反応してぞろぞろと同じような犬が集まってきて牙を剥き出しにして吠えてきます。10匹はいたでしょうか。壁を背にした私を中心に半円を描くように囲んでします。上手く呼吸ができず意識が遠のいていきます。

 その時一台の車が通りかかります。犬たちも散り散りになります。白タクのようですぐに手を挙げて載せてもらいます。先述の配車アプリを使用していないので領収書も出ないし割高になりますが、背に腹は代えられません。100円ぐらいの距離なのに300円ぐらいかかりました。いや、でも本当にありがとうございました!物理的にも精神的にも真っ暗だったあの状況を打破してくれた運ちゃんには感謝です。ホテルに着くまでの記憶がほとんどありませんが、このご恩だけは忘れられません。

 

◆可愛いけれど

 そんなこんなで今でも犬はちょっと苦手です。好きなんですけどね!犬と喧嘩したら人間は勝てないことのが多いそうなんで、皆様も油断せずに気を付けてください。

 あと書いてて思い出したのですが、犬と一緒で蚊にも二度ほど命を脅かされました。マリとバングラデシュで、マラリアらしきものとデング熱らしきものを経験しました。まあそっちはいいか。ひたすら苦しくて体が痛くてだるくて動けなかっただけなので。でも今は蚊なんて全く怖くないんです。犬と同じく2度も命の危機に晒されたのに。

 

 今後醸造所でお店を再開した際にはテラス席についてはわんちゃんの同席もOKにするつもりです。淡路島はわんちゃんと泊まれる素敵な宿も多いですし、ちょっと離れてわんちゃんを見るのは好きなので。ただ間違っても店主が気付いていない状態で背後から近づけないでください。体調不良で臨時休業になるかもしれません。

 コクフクシターイ!

 
 
 

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